平成29年度宮崎県NPOスキルアップ研修『非営利組織評価を紐解く』に参加して
1月24日に宮崎で参加したセミナーが「これは記事を書かねば…!」と思い、勢いで記事を書きました。
若干乱文もありますが、非営利組織に関わる方はご一読いただけると良いかもしれません。
(こんなの当たり前だろ!という方がいらしたら申し訳ございません。。)
何に驚き、何が凄かったのか。
今回のセミナーは、2016年に設立された非営利組織評価センターの杉田研一氏が講師として立たれていました。
講義冒頭、「なぜ、今、非営利組織の組織評価の取り組みが増えているのか?」という問いに対する背景を政策的な動きから解説をいただき、大きく3つの動きがあって、評価・認証制度創設の取り組みがあるとのことでした。
3つの動きは以下の3つ。
- 休眠預金
- 遺贈
- 公益信託
休眠預金は多くの方もご存知かと思いますが、金融庁所管の金融機関が持っている休眠預金を公益活動の為に活用する法案を内閣府が推進していて、今年3月には基本方針が決まり、2019年ごろを活用スタートを目指して動きがあります。
また、今回初めて知ったのが、遺贈と公益信託の2つ。
公益信託の制度自体は昭和52年につくられていたようですが、積極的に活用されている状況ではなかったようで、2019年法改正、2020年改正法執行に伴って、社会的投資拡大に向けての動きがあるようです。
(まとまって見れる情報ソースは発見できず、、)
助成金トレンドの変化も。
これまでは、市民活動に対して助成金を拠出していたことが多かったが、担い手の育成支援に対した助成制度に変化に変化の傾向がみられるようです。
またその背景に、寄付の振り分けを検討するプログラムオフィサー育成の課題があり、流通する貨幣量が増えることにあたって、認証制度が一つのフィルターとして機能するのではないかと期待があり、制度策定に向けた動きになっているようです。
(いよいよ、単に活動をするだけではお金をもらえなくなる時代が、、)
また企業からの支援(CSR等)のトレンドもSDGsや2020オリンピックに向けた動きがあり、企業が支援を検討する際に重視する指標として、情報開示の度合いが求められることから、表面的に見える結果やアウトプットだけではなく、組織の活動プロセスまで問われる時代になってきていることもあるそうです。
受任者になるという責務
この言葉は、頭をガツンと殴られる重たさを感じるほど印象に残った場面でした。
「他人の資産をその意思に従って管理・運用・処分する者は、高度な受任者の義務、信任義務が発生する。」
≒支援者に対しての高度な説明責任や適正な資金管理が求められるということ。
また、組織の背骨になる定款の実態はどうなっているのか?話はそこからだ。ということもおっしゃられていました。
なぜ、定款が大切なのか?
非営利組織で働かれている方でどれだけの方が自組織の定款を見たことがあるのかはとても気になるところですが、定款は組織の目的や意思決定サイクルやガバナンス、コンプライアンスといったことを定めるものになっていて、組織評価をする中で根柢になるものとしているそうです。
総会の設定や理事会の設定、理事の定数、などの組織の骨格をどう定めているのか、その骨格は現場の意思決定を潤滑に進められるものなのか、また5年後、10年後、支援下団体はちゃんと活動の成果が社会還元されている状態になっているのか、が資金提供者から問われることに評価の際に問われるそうです。
さて、あなたの組織の定款はどう定めていますか?
総括していえること。
2020年のオリンピックや2040年のSDGsに向けて、社会的インパクト投資の額は大幅に桁が変わるレベルで活発になることがとても感じらえるとともに、運用者である組織の評価が問われ、より非営利組織の二極化が進むのではないかと痛感しています。
複数の非営利組織に携わるものとして、より事業成果の可視化や資金の適正な運用などには特に気を使っていきたいなと考えさせられました。
また組織に対しても、どのような目標を定めて事業を行うのか。それはこれまで向き合ってきたミクロな視点に加えて、地域経営というマクロな視点でどれだけのインパクトを起してくことができるのかを短期・中期・長期でそれぞれ定めていく必要が出てくるのではないかと感じています。
ところで、非営利組織評価センターって?
2016年に15の民間組織が支援し、公益活動に対する情報公開の推進や、評価・認証などを行うために立ち上げられた組織だそうです。
設立発起人は以下の15団体とのこと。
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株式会社ALMACREATIONS
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特定非営利活動法人CANPANセンター
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公益財団法人 公益法人協会
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一般財団法人 社会的認証開発推進機構
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一般社団法人 全国コミュニティ財団協会
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一般財団法人地域公共人材開発機構
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公益財団法人トヨタ財団
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公益財団法人 日本財団
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一般社団法人 日本障害者就労支援協会
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認定特定非営利活動法人 日本ファンドレイジング協会
創立の経緯
2016年4月1日、全国の非営利組織の評価を行うことで信頼できる組織の情報を広く社会に発信し、支援環境の充実に寄与するために非営利組織評価センター(JCNE)を設立しました。1998年に特定非営利活動促進法が制定されて以来、5万を超えるNPOが法人格を取得し活躍しています。一般法人も4万団体を超えました。これらの中で公益活動を行う非営利組織の皆様の手によって様々な課題がサポートされています。
そして2011年の3.11東日本大震災以降、全国で寄付支援やボランティア参加の意識が高まっています。
チャリティの歴史が長い諸外国では、第三者である評価機関が寄付等を受けて活動する団体の運営状況を評価認証し、結果を公開しています。日本でも同様の非営利組織の評価が必要な時期になりました。
この非営利組織評価センターは民間セクターの手で作りたいという願いから、多くの団体に設立のご支援をいただきました。株式会社をはじめ助成財団、NPO、一般法人といった多様な設立発起人からのご出捐。そして賛同パートナーである助成財団からの応援を得ています。さらに5年後の自立を目指し事業運営には日本財団の助成をいただいています。
他の評価制度との違いは?
気になる他の評価制度との役割の違いは、以下の通りに話されていました。
パブリックリソース財団やパナソニックの評価は
「自組織が自組織の活動の為にどう活用してくか」
非営利組織評価センターは
「自己評価と第三者評価を通じて、社会に対する説明責任の証明」
エクセレントNPOは
「学会・学問寄りとしての評価」
そしてこの3つを横串して土台にあるのが、
社会的インパクト評価イニシアティブ
という位置づけを講師の方は話されていました。
(ここは図式化したかったけど省略。)
改めてまとめると?
こんな講座を無料で受けれる宮崎県の非営利組織の人が本当にうらやましい。。。
というものありますが、
認証制度を維持するための仕事が本質的でないものになることを祈りたいことと、
流通する貨幣量が爆発的に増える非営利組織が、これまでにない予算を適正に執行できるかはとても懸念点として感じています。
より優秀な若手ビジネスリーダー層が非営利組織で新たなチャレンジをしたいと思える土壌を受け入れる組織も準備をする必要があると思います。
これまでにないこの機会を逃すということは、各地域における長期的かつ大きな損失にならないように、しっかりと備えていく必要があるのではないでしょうか。
(同時に不正は絶対に許すまじ。ということも忘れずに。)
ということで、とても難しく長編になりましたが、今日はこの辺で。
最後までお読みいただきありがとうございました。